金星



名前の由来

金星は通常我々が星と呼んでいる天体の中では最も明るく、このため和名の金星の名もこれに由来しているものと考えられます。同様に中国語では、その光が白銀をイメージさせることから太白と呼ばれています。また、西洋ではビーナスの名前で知られています。ビーナスはギリシャ語ではアフロディアとなり、御存知のようにギリシャ神話の愛と美の女神です。 また、この星は一般的に宵の明星、明けの明星として知られていますが、古代ギリシャでは宵の明星をヘスペロス(Hesperos)、明けの明星をヘオスフォロス(Heosphoros)と呼び、中国ではそれぞれ長庚、啓明と呼ばれています。

金星の位置、質量、距離など

金星は太陽から2番目の位置にある惑星で、6番目に大きな惑星です。
金星は太陽、月以外で、最も明るい天体であり、その存在は先史時代より知られていたと思われます。


金星の軌道は、他の惑星と比べて最も円形に近く、その軌道離心率は0.00679しかないので、太陽からの距離は73万km程度しか増減しません。公転周期は224.7日で、584日毎に地球に近づきます。

金星の回転は大変遅く(地球の243日が金星の一日で、金星の1年よりもわずかに長い)、さらに逆行しています。加えて、金星の回転とその軌道の期間が同期しているために、地球と金星が最も接近する時はいつも地球に対し同じ面を向けています。自転軸は軌道面の極の方向から数度傾いています。

金星は地球の兄弟のような惑星であると見なされていますが、それは以下のような点で大変類似した点を持っているからなのです。:>




眼視および望遠鏡で見た金星

金星は地球よりも内側に位置する惑星のため、地球から望遠鏡で金星を観察すると月のように満ち欠けしていることがわかります。内合近くでは三日月のように、最大離角の近くでは半月のように、外合近くでは満月のように見えます。見掛けの実視等級は-3.3から-4.3等まで変化します。内合の前後36日の時点で最大光輝に達し、白昼でも肉眼で見ることができます。

望遠鏡でみると金星は、明るい一様な円盤状、三日月状に見えます。注意深く観察すると、金星を覆っている雲と思われる非常にぼやけた模様が見えることがあります。この模様の強さや位置は毎日変化しますが、紫や紫外線で撮った写真には、太いベルト状をした模様を見ることができます。この表面模様の時点周期は4日となりますが、この値は金星本体のゆっくりとした時点周期と大きく異なっています。

金星の地形

金星を探索した最初の宇宙船は1962年のマリナー2号です。引き続き、パイオニアやソビエトのヴェネラ7号などの他の多くの宇宙船(今の所、全部で20個以上)が金星を訪れています。ヴェネラ7号は他の天体に着陸した最初の宇宙船であり、その後送られたヴェネラ9号は一番最初に表面の写真を送り返してきた宇宙船です。最近、木星の衛星軌道上を回るようになった米国のマジェラン宇宙船はレーダーを使って金星の表面の詳しい地図を作りました。

金星の大きな地形区分は平原と高地(大陸)であり、これらは地球の海底と大陸に相当します。金星の高地が表面にしめる割合は10%以下であり、地球の30%と比べかなり違いが認められます。金星の高地はオーストラリア位の大きさのイシュタル大陸(中心65°N、35°E付近)、アフリカ位のアフロディテ大陸、ベータ・リージョなどがあります。これらの地域には直径が200から1000kmの巨大な円形の火山地形であるコロナやアラクノイドと呼ばれる地形、種々のタイプの火山、褶曲山脈などがあります。

マジェランのレーダー画像データよれば、金星の表面が溶岩噴出物で覆われていることが明らかになっています。大きな火口の跡(ハワイや火星のオリンポス山に似ている)があるが、最近の発見では金星の火山は現在でも、場所は2、3に限られますが活動的であることが発表されています。その他のほとんどの場所は過去数億年間にわたって、むしろ安定しているものと考えられています。

金星には小さなクレーターはありません。これは、金星に高い大気圧下では小さな隕石はは表面に至るまでに燃え尽きてしまうためであると思われます。金星のクレーターは大気圧の影響を打ち破って地表面に届くような巨大な隕石によってできたと思われるマルチクレーターの痕が残されています。

金星の内部構造

金星は地球と同程度の密度を持つことから、金星の内部はおそらく地球と大変よく似たものと考えられます。探査機の測定によれば金星には磁場は地球の1000分の1以下です。

金星の大気、気象

金星は硫酸からできた何キロにも及ぶ密雲層によって幾層にも包まれています。このため、我々が完全な金星の表面の姿を簡単に見ることはできなくなっています。密雲層の外側までの半径は6100kmですが、レーダー観測による地殻表面までの半径は約6050km程度である。すなわち、雲は地上50km程度まで覆っており、地球の約5倍程度の高さになります。これは、金星の大気が異常に高温高圧であることを意味しています。 金星の地表面の大気圧は90気圧(ほぼ地球の海の1kmの深さの気圧に相当します)、大気密度は約0.1g/cm3にも達っしており、その組成は90%強が二酸化炭素から構成されており、残りは一酸化炭素と酸素などが含まれています。極めて微量ながらフッ化水素や塩化水素もあることが報告されています。この密度の高い大気は、金星地表面の温度を約200℃(極部)〜300℃(日陰部)、および500℃〜700℃(日照面)にまで上昇させるような温室効果を作り出しています。太陽光の大半が45〜65kmにある雲層に吸収されて表面に届くのが数%であることを考えると、この温室効果はかなり過激なものであると言えます。金星の表面は、水星に比べて太陽から2倍の距離にあるにも拘わらず、実際には水星よりも温度が高くなっています。

金星の雲の上層部での風は大変強く350kphにもなりますが、 地表面の風は大変緩やかで2〜3kph以下だろうと推定されています。

金星の表面にもかっては地球のように多量の水がありましたが、全ては蒸発してしまったと考えられています。金星は現在ではかなり乾燥しています。地球も太陽にほんのわずか近かったら金星と同じ運命を辿ったかもしれません。我々は、どうして基本的に似た金星がこのような異なったものとなったかについて学ぶことによって地球についてももっと多くのことを知ることができるかもしれません。

前述したように、金星の雲は約4日で循環しています。この高速の東西流は約100m/sにも及びます。金星のように自転周期の遅い星の大気循環は、単純に考えれば昼夜間対流になると思われるが、実際にはそのような対流は存在していません。また、風向は金星の自転の向きと一致し、金星面上での太陽の動きと逆向きです。この4日循環のメカニズムを説明する理論には「移動する炎」や「ギーラッシのメカニズム」などがあります(後日、説明を加筆します)。

その他

金星には磁場がありません。これは、おそらく金星の大変ゆっくりとした回転 のためと考えられます。また、金星に衛星は発見されていません。


金星のデータ表

金星と地球の比較
項目金星 地球 比率 (Venus/Earth)
質量 (10^24 kg) 4.869 5.9736 0.815
体積 (10^10 km3) 92.843108.321 0.857
等価半径 (km) 6052 6378 0.949
極軸半径 (km) 6052 6356 0.952
体積換算半径 (km) 6052 6371 0.950
楕円率 0.000 0.0034 0.0
平均密度 (kg/m3) 5204 5520 0.943
表面引力 (eq.) (m/s2) 8.87 9.78 0.907
Escape velocity (km/s) 10.36 11.19 0.926
GM (x 10^6 km3/s2) 0.3249 0.3986 0.815
Bond albedo 0.72 0.385 1.87
Visual geometric albedo 0.65 0.367 1.77
Visual magnitude V(1,0) -4.40 -3.86 -
Solar irradiance (W/m2) 2660 1380 1.928
Black-body temperature (K) 238.9 247.3 0.966
Topographic range (km) 15 20 0.750
Moment of inertia (I/MR2) 0.33 0.3308 0.998
J2 (x 10-6) 4.458 1082.63 0.004



軌道パラメタ 金星 地球 比率 (Venus/Earth)
Semimajor axis (106 km) 108.2 149.6 0.723
Sidereal orbit period (days) 224.701 365.256 0.615
Tropical orbit period (days)224.695 365.242 0.615
Perihelion (106 km) 107.5147.1 0.731
Aphelion (106 km) 108.9 152.1 0.716
Synodic period (days) 583.92 - -
Mean orbital velocity (km/s) 35.02 29.79 1.176
Orbit inclination (deg) 3.4 0.00 -
Orbit eccentricity 0.0068 0.0167 0.407
Sidereal rotation period (hrs) 5832.5 23.9345 243.7
Equatorial inclination (deg)177.3 23.44 (0.115)

金星の大気

表面大気圧: 92 bars
表面の密度: ~65. kg/m3
Scale height: 15.9 km
平均温度: 737 K
Diurnal temperature range: ~0
風速: 0.3 to 1.0 m/s (surface)
平均分子重量: 43.45 g/mole
大気組成 (表面近傍, 体積率):
Major: 96.5% 二酸化炭素 (CO2), 3.5% 窒素 (N2)
Minor (ppm): 二酸化硫黄 (SO2) - 150;アルゴン (Ar) - 70; 水 (H2O) - 20;
一酸化炭素 (CO) - 17; ヘリウム (He) - 12; ネオン (Ne) - 7


写真はこちらを参考にして下さい。
NSSDC Photo Gallery: venus

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